脱ステの治療の流れ
アトピーの治療で「脱ステ」と呼ばれる治療法があります。脱ステの際にどうしても避けて通れないのがステロイド治療を中止した事でのリバウンドです。
これは僕も治療が始まってから実感した事なのですが、脱ステは本当に苦行でした。
身体中からジュクジュクした生臭い体液が出たり傷がいつまでも乾かないので痛みと痒みで眠れなかったり・・・
今回は、このジュクジュクした体液と脱ステの経過について書きます。
もくじ
生臭い体液の正体とは?
脱ステを始めた時、傷がある箇所だけでなくあらゆる部位から黄色くて生臭い体液が出ます。リンパ液だとか浸出液と呼ばれる体液の一種ですが、アトピー汁とも呼ばれることがあります。
この体液は無色透明の場合と黄色いテカテカした色の場合があり、黄色い色の方だと生臭くてとても気分の良い物ではありません。
これは体内に入って来た異物(菌や老廃物)を排出する為に出てくる体液なのですが、脱ステロイド治療に取り掛かった際に、それまでステロイド薬で押さえ込んでいた分が吹き出てくる様にどんどん流れ出て来ます。
どのくらいの期間出続けるかは個人差がありますが、僕の場合は2ヶ月くらい休みなくずっと出続けていました。
もし、今傷口がジュクジュクして痒みが治まらず終わりの見えない症状なんじゃないかと不安になられている人が居たら、今が1番の我慢のタイミングです。
やがてこの体液は少量になり出なくなります。ですが、その為の処置というか対処にも気を付けなければずっと繰り返し傷を増やしてはアトピー汁に悩まされる事になります。では、対処法、処置の仕方をご案内します。
掻き傷から溢れる様に出てくるアトピー汁への対処
もうこの症状になられている方なら嫌という程ご理解して頂けると思うんですが、このアトピー汁はある程度の期間延々と止まらずに出続けます。
この時期は、痒みも恐ろしく激しくなりイライラがピークを迎えてしまうと思います。
ジュクジュクと汁が出ている間は傷口も常に湿っているので非常に刺激にも弱い状態になっています。ですので、できるだけ刺激の少ないガーゼや柔らかい綿のタオルで軽く叩く様に拭き取ってください。
ほんの少しタオルで擦っただけでも傷口を刺激してしまい更に傷を広げてしまうので擦る様な拭き方は御法度です。
やがて傷口が乾燥してくるとカピカピのカサブタの様になります。そうなってくると一歩前進です。
アトピー汁が乾燥して来たら・・・
アトピー汁が乾燥して固まったら今度は皮膚が突っ張る様な感覚だったり乾燥している部分が痒くてたまらない状態になります。
この状態が一番辛い状態ですよね。僕はこのタイミングで我慢できなくてまた掻いてしまい何度も一からやり直しでした。この時、痒くてたまらない時は叩いたり冷やしたりして極力爪を立てない様に努力してください。
もう我慢なんかしてたら気がおかしくなる!っていう人は掻いても良いですが、傷を広げない事と爪を短く切ってヤスリで滑らかな状態の爪を維持してください。
僕は、爪を短く切ってヤスリ掛けしてからマニキュアのトップコートを何度も塗り重ねて爪の先が丸くなる様にして刺激を減らす工夫をしていました。
尚、この時に再度ステロイド薬を使用した治療に戻る人が一番多くなるタイミングだと思うのですが、中途半端なタイミングで治療法を変えると何度も何度も同じ事の繰り返しになりますので、この時期を乗り切るまでは我慢してください。
このアトピー汁が出てしまった状態の皮膚は何のバリアも持っていない状態です。
日差しを浴びても痛みますし、ほんの少しの風が当たっても痛みます。温度調節すらできない状態で、皮膚というより粘膜に近い状態です。
これが皮膚化して来たらあと少しの辛抱です。
新しい皮膚が出来て来たら
アトピー汁が乾燥してカサブタの様になった後、今度は少しずつ新しい皮膚が出来てきます。この頃になるとアトピー汁はもうあまり出なくなりますが、まだ出来たての皮膚は生まれたての赤ちゃんと同じでメチャクチャ繊細です。
絶対に掻かない様にしてください。
ここまできてまた傷を作ってしまうとまた最初からやり直しになってしまう可能性もあります。ここまで耐えられたのならもう我慢はできるはずです。頑張りましょう!
皮膚が成形されてから最初の頃はフケの様な白い薄皮がパリパリと禿げてきたり皮膚の表面がカサカサになってきます。これは爬虫類が脱皮しているのと同じで何度も新しい皮膚に生まれ変わって古くなった表皮を排出している状態です。
その剥がれた薄皮の下には更に強く新しい皮膚が出来つつあります。
この時の薄皮は落屑といってもう必要なくなった表皮ですので、排泄物となります。放っておいても良いですが、汗や湿気で皮膚にこびり付いたら気持ち悪いですし痒くなりますので、柔らかいタオルやガーゼで軽く拭き取る様にして取り除いてください。
ここまでで脱ステの治療の8割くらいが終了したと言っても良いかもしれません。
最後の仕上げ!強い皮膚を作る。
新しい皮膚が出来ては落屑を繰り返している間はカサカサと乾燥した状態になります。
これがまた痒くてなかなか辛い状態なんですが、ここで出来れば避けたい事があります。
保湿するのはやめてください。
普通なら乾燥している時は保湿するのが当たり前だと思うのですが、まだこの時期は保湿をしても皮膚自体が保湿材に馴染めず炎症を起こす事もありますし、アトピー汁を再度分泌させてしまう原因にもなります。
この時期は飲料等での水分補給も極端にやる必要はありませんが少し控えてください。
これを脱保湿と呼びます。脱ステでは脱保湿はセットで考えておいてください。
そうこうしているうちに日に日に皮膚が強く張りも出てきて艶も出てきます。そして潤いも出てきたらほぼ治療は終了です。
まとめ。文章で見る脱ステと実際の経過
ここまで、たった2000文字くらいで説明してきましたが、治療中は本当に地獄を見たというか死んだ方が幸せなんじゃないだろうか?とまで思える程辛かったのを覚えています。
やっと傷が乾燥して表皮が出来つつあるタイミングで掻いてまた振り出しに戻るの繰り返しで、いつまでも治る気がしませんでした。僕は運が良かったのか2ヶ月くらいで新しい皮膚が出来てきて人並みに生活できる様になりましたが、その2ヶ月くらいの時間は体感では何年にも感じました。
ですが、あの時期があったから今こうして人よりは肌が弱いとはいえ人並みに生活できています。
今から脱ステを経験される方、現在取り組んでいる方、そんな人たちに先を希望を持ってもらえたら!という思いで今回の記事を書きました。